広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

 

第174回 FACTFULNESS

  
吉田 毅

准教授

先端集積システム工学研究室

 

 

「FACTFULNESS[1]」はTEDトーク等でも有名なハンス・ロスリング氏の本です.factfulnessとはロスリング氏の造語で「fact-ful-ness」と分解して考えると,十分な事実を持った状態とでもすればよいでしょうか.日本語訳者は「事実に基づいた見方」と訳しています.この本は,我々の持つ様々な本能,例えば,分断,直線,過大視,単純化等,が,物事(本では主に世界情勢)を歪んで捉えてしまうことを,わかりやすく教えてくれます.データに基づく事実をきちんと認識し,これまでの経験や思い込みによる間違った分類や単純化などを行わず,物事をきちんと捉えることが必要であることにあらためて気付かされます.

 

さて,新年度になり新しい学部4年生と修士1年生が研究室に配属されてきました.これまでの環境と変わり,はじめての研究活動で戸惑うことも多いと思いますが,研究を進める際にはこれまでの経験や思い込みに頼らず,批判的な思考で多角的に物事を捉えて,研究を遂行してもらえればと思います.自分が失敗だと思っていたことが,実は新しい発見であったということもあるかもしれません.

 

ロスリング氏は残念ながら2017年に亡くなられてしまいましたが,その活動はギャップマインダー財団(https://www.gapminder.org)に引き継がれています.

 

[1] ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド著,上杉周作,関美和訳,日経BP社(2019),ISBN-13: 978-4822289607.

 
 

 

 

 

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