広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

 

第163回 暑い!?
  

花房 宏明(はなふさ ひろあき)


量子半導体工学研究室

 

 今年は特に猛暑のニュースが多いと感じる。研究室の学生には「子供の頃はこんなに暑くなかった。最高気温が27~32℃程度で小学校のプールの授業はとても寒かった(水温は低い!)」と言っている。しかし、こう暑いと言い続けるうちに記憶が定かではなくなってきた。果たして本当にそうだったのかどうか。 また、もう1点気になる点がある。「年ごとの夏場の平均気温データが上昇傾向にある。だから暑くなっている」というニュースがよく出ている。しかし平均気温のデータは特定の最高気温・最低気温に引きずられる。なのでそのデータのみでは疑ってかかってしまう。長野県など、最高温度36℃、最低温度23℃である。平均値データは太陽に照らされたあの痛いような暑さを示してくれない。 すなわち「今日何℃まで上がった!暑い日だった!」というように「最高気温」というものが暑さを議論する上で最も重要ではないであろうか。ニュースでも最高気温の報告は一杯あるが、なぜか暑くなっているうんぬんの議論は平均気温データの経年変化のみである。全く納得がいかない。最高気温の経年変化を俎上に議論をすべきである!

ということで調べた。(すでに同様の調査をされている方がいましたらすみません)

データ元:過去の気象データ検索(http://www.jma.go.jp/jma/index.html)

各種データ・資料 > 過去の気象データ検索)

データ:1970年~2018年の7月のデータ7月の各日の最高温度(千葉県千葉市)

 

まず、図1は1990年と2018年における7月の最高気温のデータである。1990年は最高気温33.4℃、平均最高気温は29.8℃であった。確かに今よりもぐっと涼しく、30℃前後でプールに入っていた記憶は正しそうだ。ちなみに、今年2018年は最高気温37.4℃、平均最高気温は32.1℃であった。

 

 

図1



 図2はそれぞれの年における日ごとの温度グラフだが、年を追うごとに黄色~赤色のマス(日)が明らかに多くなっている。最高気温が上がり、かつ高温の日数が増えていることが一目瞭然である。

 

 

図2



 図3はその年の7月における最高気温とその月の日ごとにおける最高気温の平均値をプロットしたものである。最小二乗法による線形フィット直線も描いている。明確に最高気温が高い日数が増えていることを示している。傾きはおおよそ1年ごとに0.07℃、10年で0.7℃の温度上昇を示している。この傾向が続くのは大丈夫であろうか。

 

図3

 

 図3において線を短絡的に外挿してみた(図4)。2100年には最高気温が42.5℃、平均気温が36℃となる。うん、まだ生きていけそうだ。

 

 

図4

 

 というところで確かに30年ほど前は暑い日もあったが涼しい日もあった。今の気候は最高気温が高くなっているということを確認してお終いとする。

 

 

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