ミヤケ マサタカ 三宅 正尭 准教授 Associate Professor/Lecturer MIYAKE, Masataka |
先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻 極微細デバイス工学研究室 |
図1のような構造を持つ、数百ボルトから数千ボルトの電圧領域で利用できるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と呼ばれるパワー半導体デバイスが研究対象です。 このデバイスは用途が非常に幅広く、モーターやコンプレッサーの制御や電力変換装置として、自動車(ハイブリッド、電気、燃料電池)、鉄道、家電(エアコンや冷蔵庫)、太陽電池モジュール、変電所等にも使われます。
これらを実現する電子回路を設計する上で、性能やコストを左右する心臓部が、回路設計用のIGBTモデルです。 これは、入力電圧に対するIGBTの応答(電流や電荷、更には発熱)として数式で表現され、回路動作を解析するソフトにプログラムとして組み込まれることにより実用可能となります。 これにより、IGBTを使った回路の動作をより正確にシミュレーションすることが可能となり、速くて正確な回路設計が容易になり、高性能・低消費電力・低コストな製品開発につながります。
私たちが開発しているIGBTモデル「HiSIM-IGBT(ハイシムIGBT)」は、 2008年12月に世界標準モデルとなった高耐圧MOSFETモデル「HiSIM_HV(ハイシムHV)」を土台とし、 IGBT特有の物理現象を最大限物理に則って数式化しているため、高い精度が得られます。
IGBTモデルは大電力を扱う製品の開発において非常に重要であり、その精度や安定性は製品の省エネ・低コスト化に大きく影響するため、 地球温暖化対策への貢献が大いに期待されます。
回路シミュレータ(SPICE3f5、SmartSpice、HSPICE、Spectre、ADS)、 パラメータ抽出ツール(ICCAP、UTMOST IV)、 デバイスシミュレータ(Taurus-MEDICI、Sentaurus Device、ATLAS)、 プロセスシミュレータ(Taurus-TSUPREM4、Sentaurus Process)等。
研究に対して強いモチベーションを持ち、柔軟に思考し、どこまでも粘り強く努力できる人を歓迎します。
図1.IGBTの構造例(断面図) | 図2.モータのインダクタンス負荷を考慮したテスト回路 | 図3.HiSIM-IGBT及びSPICE3f5を用いて計算した図2のコレクタ電流Icの波形 |