広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第82回 「機中の暇つぶし」
 
花房 宏明
助教
量子半導体工学研究室


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   こんにちは。前回(第62回)から、一年半が過ぎ、平成25年も残すところあとわずか。皆さんは良い一年を過ごせましたでしょうか。
 今回は前回に似て、本と飛行機の話をします。こんな話ばっかりですが、私は本屋の営業担当でもありませんし、航空会社の影の広報担当でもありません。ただ、本が無いと落ち着かないし、飛行機に乗るのも嫌いじゃない。あしからず。

 一昨年の春に広島大学に着任したが、その当時は単身赴任状態で、かつ初めての子供がお腹の中にいる状態だった。なので、毎月1回は飛行機に乗って会いに行っていた。東京と広島を往復する飛行機の機内誌に“お弁当の時間“というページがある。月替わりでいろいろな人が取り上げられ、作ったり、作ってもらったりした「お弁当」を人物とともに紹介している。これがたまらなく面白い。”作ってもらう人の心”や“作る側の人の心”が紙面からじんわりとにじみ出し、冷めているが、あのやさしいお弁当の味が広がる。

 登場人物の全身写真とお弁当の写真、それに取材記事がついて一回分なのだが、写真と文章が見事に融合している。パッと写真を見て、じっくり話を読み、再び写真を見る。紹介された人に親しみが生まれ、お弁当と共に歩いてきた人生の一端が垣間見える。こんな風に人を夢中にする文章を(研究論文であればなおさら)常に書けるようになりたいものだ。

 このページがあまりにも楽しみで、「往路(広島→東京)で読んでしまったら帰り(復路:東京→広島)の楽しみがなくなる。だから往きは持参した本を読もう」とかトンチンカンなこともしていた。

 そんな事を繰り返しているうちに家族が増え、広島に全員で帰ることになった。いつもは1人だった飛行機に初めて家族4人で乗り込こんだ。その日の“お弁当の時間”の内容は奇遇にも親子の話だった。大人しく抱っこされているこの子達はどうなるかと思いふけっていたのも束の間に、ドシンと大自然の中の広島空港に着陸。空の上の思考はすぐに終わる。

我々はどんな“お弁当”になるだろうか、楽しみだ。

書籍化されているお弁当の時間1・2(木楽舎)が手元にあるのは言うまでもない。

それでは少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。



 

(2013/12/18)


 


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