第79回 「研究所から出たところには・・・」(続編)
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コラム第16回 「研究所から出たところには・・・」(2010/12/06掲載)では、研究所の前にある「アメリカフウ」について少し触れました。今年の秋も同じ場所のアメリカフウはなぜか紅葉せずに緑色の葉っぱをたくさんつけています(写真1)。このアメリカフウの幹の直ぐ近くに街灯があり、日照時間が違うのが原因かとおもっていました。ところが、他の所の街灯の近くにあるアメリカフウは紅葉しています。どうやら、このアメリカフウだけのようです。不思議です。今年もこれだけ紅葉せずに冬を越しそうです。アメリカフウは葉っぱが落ちると丸いとげとげした形の実が目立つようになります。クリスマスの飾りにはもってこいです。
さて、この「不思議な」アメリカフウの反対側(北東側)に私が所属する「ナノデバイス・バイオ融合科学研究所」があります(写真2, 3)。さらに研究所の反対側(北東側)に、植物園があります(写真4,5)。広島大学は自然がたくさんある大学ですが、その中に植物園がこんな場所があることをほとんどの方は知らないのではないかと思います。ちょうどハロウィンの時期だったので、パンプキンの飾りがありました(写真6,7)。どんぐりの実もなっていたりして、自然がたくさんありますので、お時間があれば休み時間に散歩でもしてみてはと思います(写真8,9)。
写真2 写真3
写真4 写真5
写真6 写真7
写真8 写真9
西条の夜空は、東京の夜空とちがい、星がたいへんきれいに見えます。一昔前よりは、マンションや街灯がたくさんできましたので、少し明るくなりましたが、それでも、暗い場所にいけば天の川がみえます。西条市内の星空観察スポットとして有名なのが、福成寺の上にある広島大学の東広島天文台です。ここは、西条市内の光が見えないので、夜空を堪能するにはもってこいです。ただ、冬は寒いので防寒対策が必要です。広島大学にも星空観察にもってこいの真っ暗な場所があります。そこは広島大学の農場からサイエンスパークにぬける大学内の道です。この場所は夜は真っ暗(本当に真っ暗!)なのでびっくりするくらい星空を見ることができます。たまに車がとおるので、夜空に見とれて道に寝転がらないように気をつけてください。特にこれから流星群の時期になりますので、この穴場を利用してはどうでしょうか?(私が既にいるかもしれませんが。)
今年は中秋の名月と満月がかさなる滅多にないチャンスだったので、満月の写真をとってみました(写真10)。ちょうど天頂する時間だったので、月の上下がどちらだったかわからず、そのままとりましたが、たぶん、日本でみるお月さんの向きではないかと思っています。月の模様をじっくり見たのは何年ぶりだろう。小学校の時は月の観察をやったような記憶があります。日本では月の模様は、「ウサギの餅つき」のように見えます。そもそも、月にウサギがいると言うのは仏教説話からきているといわれているから、そのように見えるのかもしれません。研究員のホアンさんに聞いたところ、ベトナムでは、「大きな木とその下で休む男の人の姿」に見えるそうだ。他の国では、「大きなはさみのカニ」や「女性の横顔」等々。場所がちがうから、模様の位置もかわり、その国々の文化が影響して、そのように見えるのだろうか。これも不思議です。
今年は8月のペルセウス座流星群の時期に運良く知人の船で夜釣りをする機会に恵まれました。安芸の宮島の近くでメバルを釣りながら夜空を見上げると、ペルセウス座の方角から流れ星がみえました。ペルセウス座はカシオペア座の近くにあるので、北の方角を見つけて、北極星をたよりに、カシオペア座を見つけ、そこから、ペルセウス座を見つけます。この日は、月が出ていない新月の日だったのと、おまけに海の上なので方角がわからず、探すのに苦労しました。最近はスマホのアプリに、星座観察用のアプリというのがあります。このアプリを夜空にむけるとGPSで位置を計測し、コンパスとジャイロセンサで向きを感知して、画面に星座を描いてくれるものです。たいへん便利になったものだと驚きました。これなら星座の位置や方角や見える時間を覚えていなくても、どこでも星座を簡単に見つけることができます。驚いたのは地面に向けると南半球の星座がみえるのです。南十字星が見えます。星の輝きも円の大きさであらわしていてわかりやすいです。
夜空をみていると明るい星から暗い星まで様々あり、おのずと光り輝く星を繋いで、自然と何かの形に見えてくるものです。カシオペア座もそうだが夜空の星座はギリシャ神話に基づいた名前がたくさんついています。無数にある星の点と点を繋いで線にして、それから形を構成し、ギリシャ神話を夜空に描いてしまう昔の人たちの想像力はすごいなぁといつも思います。「夏の大三角形」を構成する「こと座のベガ」と「はくちょう座のデネブ」と「わし座のアルタイル」は、皆さんご存じだとおもいますが(小学校で習った)、天の川がなかなか見ることができない都会では、探すのが難しいかもしれません。その点、西条は天の川がたいへんきれいにみえます。天の川の織姫と彦星は、ベガとアルタイルであるが、この輝く星をみて、「七夕伝説」を結びつけた想像力もおもしろいです。昔の人たちは電気がない夜に、夜空見ながら、みんなで話をしたのでしょうか。残念ながら、ITCの恩恵を受けている私達は夜空を見ることも少なくなったし、スマホのアプリで星座を探していては、夜空の星を見ていろんな想いを巡らせることはそう簡単ではなさそうです。年内には11月のアイソン彗星やしし座流星群、12月のふたご座流星群などを見ることができます。この機会にみなさんも子どもの頃の想像力を再起させてはどうでしょうか。
(2013/10/31)