コラム
こんにちは。量子半導体研究室の花房です。
“古代ローマのお風呂に関した映画”を見ようと思いつつタイミングが合わない。Roma・・・そこでピンときたのが長年つらつらと読み、読んでは戻って、また読み進めている塩野七海さんの“ローマ人の物語”という本。
古代ローマは、地中海沿岸全て、昔は緑豊かだったエジプト、モロッコやアルジェリア、トルコ、スペイン、ポルトガルなど、果てはイギリスまで。ヨーロッパはほとんどが領土。広大な勢力圏を持っていた。それもこれも一因として戦争に強かったのが挙げられる。多くの有名ローマ人の中でも戦争がうまい人はGaius Julius Caesar。
ローマの戦いは「兵站、戦法、情報収集」に支えられ、それぞれ緻密に系統立てて実行されていた。
例えば、何万もの人員の行軍を支える食糧を確保するだけでも非常な労力を要する。それでローマ人は人員や荷物を効率良く輸送するために、敷石で詰めた街道を作った。これは輸送の面で現代の高速道路と林道ほどの差があったという。今でも残るそれらの街道は戦況の要所になる場所へ素早く向かうことや、食糧や資材を効率よく送り続けるのを強力に支えた(逆にこの高速道路を利用されて敵に攻め込まれたこともあるようだが)。しかしながら、そこまでしても食糧の輸送が途切れることもある。ここで、兵は不満になる。そこを奮い立たせるのが隊長や将軍の仕事。苦境を乗り越えた先に見えるものや、プライドを刺激し、奮い立たせる。さらには、効果的に敵を攻める陣形や道具の開発も有名だ。現状・現場に即した機動的な動き、なんと!と思ってしまうような道具・兵器の開発による大勝利。剣と槍の戦いに装甲車のようなものが登場したこともある。あとは敵がどこにいるか、どういう状況にあるか、などの情報収集も余念がなかった。面白いことに、ローマが大勝する状況は情報収集をしっかり行った時に多いように思える。敵を包囲することや意表を突いた攻め方ができ、効率的に敵を攻めることができた。逆に情報収集を軽んじた場合、多くの歴史的な大敗を喫している。
以上挙げたのが全てではないが、ローマ人はこのようなスタイルを貫いていった。何となく戦争に強かった理由が感じ取れると思う。それでも時がたつにつれ、次第にローマが劣勢になってくる。これは相手がローマの文化や戦い方を真似し、発展的に取り入れたからであろう。さて、これらが何に似ているかすでにお気づきだと思う。このような話を読むたびに、どこかで聞いたような話と感じ、人間は2000年を超えてもなお、全く変わっていない!と痛感する。ならば、「見習うべきは見習い」、「磨く部分は磨く」、「見習われるようなことを生み出す」が更なる前へ進む一歩であろうか。件の映画は日本と古代ローマの風呂繋がりの映画のようだ。しかし、古代ローマ人とは風呂以上に我々日本人と通ずるものがあるような気がする。
ローマの中心駅“TERMINI”にて。TERMINALターミナルの語源だ!これは絶対!と思っていたら、近所にローマ時代のTERME(公共浴場の意)があったからだそうな。やっぱり風呂か!