第43回
「全ては自分次第」 林 将平 博士課程後期1年 量子半導体工学研究室 >> 研究室ホームページ |
10月からこの広島大学で再び学ぶようになり、1ケ月が経ちました。3月に本専攻の博士課程前期を修了して半年、色々と考えることがあり博士課程後期への進学を決めました。半年という短期間ではありましたが、メーカーに就職し、これまで研究してきた技術の応用製品について勉強になることが多々ありました。コラムを書く機会を与えて頂いたので非常に恐縮ではありますが、博士課程後期に進学を決めた理由について書きたいと思います。
これまで私は、何かに熱中することはあるけれども、ある一つのことを極めるということはありませんでした。趣味はいくつもあるのですが、どれも中途半端なモノばかり。そんな私が、大学4年生の研究室配属で得たものは自分の“研究”でした。今の研究テーマと出会ったことが私を大きく変えたように思います。昔から凝り性であったためか、工作や実験は自ら体を動かし結果が得られるので、私にはすごく合っているように感じました。卒業研究ではプラズマを発生させる実験装置を設計し、フライス盤、旋盤等の工作機を駆使して金属加工を行い、装置を完成させました。納得する物が出来るまで何度も作り直し装置が完成した時は、とても感動しました。実験も同じで、結果が良くも悪くも結果に対して考察を考えることが楽しいと感じます。特に予想と異なる結果が出た時は、悩み考えるわけですが、予想通りの結果が出た時よりも得られる知識は多いと考えます。
学会発表も大きな魅力です。学会に参加することで色々な知識が得られ、自分の研究に対する新しい知見も得られます。特に海外で発表させて頂いた時は、他大学の先生方や博士後期課程の方達と話をする機会があり、とても勉強になりました。また、色々な場所に行けて、その土地の料理や時間が許せば観光名所を見て回ることも出来ます。
私にとって研究は、そのような充実感をくれます。上記のことは研究室を離れて強く実感しました。実際に研究室で毎日実験していると意外と気づかないようです。将来の事を考えるとそのまま会社で働き続ける道もありましたが、まずは学位を取ってからでもいくらでも道はあるという考えに至りました。選ぶ道が何本あるかは自分しだいであると思います。そして大学に戻って今思うことは、やはり大変だったということでしょうか。博士課程前期と比べ、後輩の指導やクリーンルームの管理等の仕事が増えるわけですから、自分の研究の時間をつくることに苦労しています。ただその大変さの中にも充実感を感じており、一つ一つの仕事も楽しんで出来ています。博士課程後期では、一日一日を大事に、楽しく研究を進めていきたいと思います。
最後に今、博士後期課程への進学に迷っている修士学生の方々は、今やりたいことを優先して欲しいと思います。諦めるにしても、とことんやり抜くにしても自分の匙加減で決まるわけですから、全ては自分次第だということです。
(2011/11/14)
The 7th International Thin-Film Transistor Conference (ITC2011) @ Cambridge, UK