広島大学 大学院先端物質科学研究科 半導体集積科学専攻

コラム   

第31回 「「もしドラ」を見て思い出したこと」
 
吉田 毅
 
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 最近,「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら」という本がベストセラーになり,それに合わせて昔のドラッカーの本が書店でも平積みで見かけるようになりました.実は10年以上前にもドラッカーのブームがあり,その時買い込んだ書籍を思い出したので,もう一度読みなおしてみました.(したがって,「もしドラ」のアニメも映画もAKBの話も出てきませんので悪しからず)

  当時,社会人2年目の私が買い込んだ書籍は「プロフェッショナルの条件 -いかに成果をあげ,成長するか-」(ISBN 4-478-30059-3)です.本の構成はこれまでの著書の抜粋なのでちょっと読みづらいのですが,成長と自己変革を続けるためにどのように行動すべきかが記載されています.記載されている心構え等については,社会人にとっては当たり前かもしれませんが,継続するための手段は今読み直しても「なるほど」と納得するところもありました.特に自らの成長を継続させる箇所は普遍的で今でも役に立ちます.以下に抜粋した内容を示します.

  1. 新しい仕事が要求するものを考える
仕事や地位や任務が変わったときには,新しい仕事が要求するものについて徹底的に考える必要があります.新しい任務で成功する上で必要なことは卓越した知識や才能ではなく,新しい任務が要求するもの(新しい挑戦,仕事,課題)において重要なことに集中することです.

  2. 目標とビジョンを持って行動する
自分の一生の仕事がなんであれ,決して諦めずに目標とビジョンをもって努力し続けることです.それは失敗し続けるに違いなくとも完全を求め努力することになります.一般的に成果をあげ続ける人は,流すような適当な仕事をせず,仕事において真摯さを重視し,誇りを持って完全を求めます.手抜きの仕事は必ず誰かに見られています.

  3. 定期的に検証と反省を行う
自らの仕事ぶりの評価を仕事そのものの中に組み込むことで成果をフィードバックしやすくしましょう.さらに,自分の行動や意思決定がもたらすべきものについての期待をあらかじめ記録し,後日実際の結果と比較する長期的なフィードバックも実施しましょう.

  学生の皆さんは,これまでの講義中心の生活から研究のフィールドに移ってきたことにより,皆さんに要求されるものが劇的に変わったことを感じていると思います.これから皆さんに要求されるのは,講義に出席し,講義の内容を6割以上覚えて,単位を取得することでは決してありません.是非この機会に徹底的に考え,今後の活動に役立てて下さい.また常に自分の成果に対してフィードバックをかけて,更に良い成果を出せるように改善してください.(進捗線表を引き直しているだけではいけません)

  最後にこの本を集約する言葉,自らの成長を促す問いで終えたいと思います.

  あなたは,自分が何によって知られたい(記憶されたい)ですか?

(2011/7/18)


 


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